寄稿: 紙田彰/画家になる少女(2014.4.12 娘の結婚の記念に)

wedd_K4_400

画家になる少女
  ――初めての個展で

水に溶ける
絵の束を抱えた 少女が
ふりはじめた雨足に
逐われている

街の灯が乱反射する時刻
建物の壁に貼りつく人々

おい、ここだ、ここだ

少女の描いた 鋭い曲線が
やはり 刃物のように囁く
おい、ここだ、ここだ

たったいま走り出た
画廊の 余熱が
全身に満たされている

わたしは絵を描くためにのみ
生きているのだ

少女の性急な想いが
雨に濡らすまいと その
細い腕に力を伝える

ひとりの画家が
生まれたのかもしれない

[作成時期]2003/06/05 [改訂] 2015.2