寄稿: 金石 稔/卯月に花嫁となるひとへの祝いに

wedd_K6

卯月に花嫁となるひとへの祝いに 金石 稔

かすかなひかりがさしてすべてははじまる
未知なるもの 輪郭をもたぬもの かぼそい息と微熱
確かにその小さな椛のうてなにひそませ
あどけない面差しは新しい世界に向かう
《鏡子》と名付けられた幼子は
裸形をたゆまず脱ぎ去るために
しなやかに立ちけなげに舞うのだろう
望みは多くの宝珠ではなく自己のはるかな深みへの眺望
まなざしはきっぱりと現象のゆらぎをとらえ
名前を言の葉にするだけでなくイメージに描きさえする

娘は わたしとその妻の二人のふところに
涼しげな声とみじろぎと多くの眠りを置き土産として今 離れていく
目元に木漏れ日の下に喜び跳ねるリスのように けれども
きりりとした覇気を全身にみなぎらせて

陽光はおまえといとしいひととの小さな王国を輝かし
うるおいに満ちた夕餉をさらに至上の歓喜のひとときに変えるだろう

こまやかにそして華やかに その名のごとくまだ見ぬ明日を鮮やかに映す鏡であれ
さざめく初々しい唇で

無限に豊饒の歳月を数えなさい
のびやかな肢体 力強い鼓動 風にゆれる長い黒髪で
たゆまずたおやかに夢のなかに夢見て
目覚めるとその愛するひとがいつも隣りにあって おしまず
にこやかにほほ笑みかけて たくましくあたたかに抱擁するのだから

(2014.4.12の紙田彰の娘の結婚の祝いに寄せた作品)